これが公開されたとき、ファッション誌に載っていた記事で、
「男友達と観に行って、私は面白くなかったけど彼は感動したらしい。男性には響くロマンスの形なのかも」(適当)
って書いてあった。
観終わると、その記事にも納得がいく……。
テキトーなあらすじ
女優志望のミアと、いつか自分の店を持ちたいと願うピアニストのセバスチャン。
二人は夢のために道を分かつことになるが、それぞれがキャリアの成功を手に入れる。
セバスチャンの店にミアが偶然訪れ、二人がもしも今も一緒にいたならば的なシーンが流れるが、このシーンが長くてくどい上に「ミアはお前のことなんてもう何とも思ってないって!」という思いに駆られ、見ていてちょっぴり恥ずかしい。
何とも思ってないは言い過ぎかもしれないけど、ミアにとってのセバスチャンはもう成功するまでの過程に転がっていた恋の残滓でしかないと思う。しかもここが感動シーンなのだろうということがありありと伝わってきすぎる。
タイタニックのラストシーンと同じで、「説明しすぎる」んですよ。そんな1から10まで説明してくれなくても観客に委ねてくれ〜って思う。
タイタニックのラストシーン、私は好きだけどね。身分の分け隔てなく祝福されてる様が好きだけどね!!
さっきのファッション誌の記事でこのラストシーンを「二人が、あり得たかもしれない未来を一瞬共有するシーン」と書いてて、もちろんどっちにもとれるし好きな解釈でいいと思うんだけど、私はどうしてもあのシーンにミアの思いがあると思えない。もし入ってたとしても9:1くらいでセバスチャンの方が重いハズ。
この”最終的には結ばれない”と言う一点だけを見てこの映画がハッピーエンドかバッドエンドかって議論するのは無駄なこと。って言うかそもそも映画の終わりというのはハッピーかバッドかの2種類ではない。夢が叶い、いまそれぞれの道を二人は歩いているわけだから単にハッピー寄りの現実だと思う。
あと全編に渡って「インスタ映えしそうな画面」が続くんだけど、そのオシャレ映像で歌とダンスのシーンが冒頭の渋滞や何の実りもなかったパーティーにもあって、インパクトになるかもしれないけどストーリー展開には関わってこない部分だし、そこに尺使うの?って思った。
ミュージカル映画で歌のシーンっていうのはもっと物語や登場人物にとって重要なシーンにあるものではないのかな……。
結局、思い出せる曲が一曲もない。
そんでミアがあまり魅力的じゃないんだよね……。
女優志望でパッとしなくて……っていうイメージにはぴったりかもしれないけど。
エマ・ストーンってグウェン役してた頃すごい可愛かったじゃん……。
ストーリーが悪いわけじゃないんですよ。ストーリー自体はあらすじ(私のじゃなくて公式の)通りだし何の裏切りもない。
ただ演出がことごとく私には合わなかったんだと思う。
最近のミュージカルで比較するとグレイテスト・ショーマンは脚本にはツッコミどころがあるけれど、歌と演出がいいから観てる間は「脚本の穴……まあいいか」と思えたのですが、特に歌も演出も脚本も響かなかったので「だから何?」っていうか感想らしい感想も浮かんでこないっていうか。もっとパンチきいたミュージカルが好きかな私は……。
もうここまでくると完全に好みで、歌とダンスのシーンに攻撃力があってこそのミュージカルでしょ!と思っているタイプの人間には物足りないかもしれないな……。
多分シェルブールの雨傘とか好きな人は好きな映画なんだと思う。オマージュあるし…
雨に唄えばは好きなんだけど。あれも攻撃力そんな高くない部類に入る。
伝わってるか? この例え。