月と星のエンタメ感想ブログ、

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白鳥の湖(ヌレエフ版)

パリ・オペラ座バレエ団

 

ブラック・スワンっていう映画を観たことありますか?

あれは主役に抜擢された主人公が、生来の性格だとオデットは踊れるけどオディールの魅惑的な踊りを演じきれないというプレッシャーに耐え兼ねて次第に幻覚とか見始めるんですよ。一人で性格のまったく異なる二人を演じなければならない。ましてやバレエはセリフがない分、踊りと表情だけで表現しないとならないんですよね。

それがオペラ座バレエ団でのことだったら凄まじい重責だろうなー。

アニエス・ルテステュは完全に演じ分けできてて、オデットのか弱い乙女風演技からオディールの自信に満ち溢れ、王子を誘惑する演技まで完璧。観客からすれば見分けがつかないはずないだろと思うのですが、王子はまんまとオディールに夢中になる。オディールの表情が、ロットバルトを見る時には「うまくいってるわ」みたいな笑顔なんです。

 

白鳥の湖にはハッピーエンドとバッドエンドが存在し、このヌレエフ版というのは割と救いのないタイプのバッドエンド(救いがあるバッドは天国で結ばれるパターンかな)。

私が小さい頃読んだ絵本では死んだけど強い愛の力で甦りましたとかいう力業タイプのハッピーエンドでした。

でもこれでロットバルトと戦って、勝てば呪いが解けるのだとしたら、愛の誓いとは? ってなるのでバッドエンドが筋は通ってるかな。

私が持っている白鳥の湖のCDは、この舞台だと王子が敗れるところの音楽で幸せそうな旋律があるので多分ロットバルトを倒したエンドなんだと思った……。

 

冒頭、王子が見ている夢のシーンから始まり、姫が悪魔に攫われるのを見る。

そこへ家庭教師がやってきて王子を起こすのですが、家庭教師(=ロットバルト)役のカール・パケットが凄まじい美貌なので王子が霞んでいる。

王子が霞んでいるのは何も顔面の差だけではなく、この王子って頼りなくてマヌケなんですよね。オディールに誘惑された後のうきうきなヴァリエーション、観客からすると幸福になる壺とか買って喜んでいる人を見ているような気持ちになるわけで……。

家庭教師と王子が踊る場面も、家庭教師がリードしている。

 

狩りでオデットと出会い、一目ぼれし、結婚します! と誓う王子。

夜明けとともに白鳥に戻り飛び去るオデット。

花嫁を選ぶ舞踏会に遅れてやってきたロットバルトとオディール。

ロットバルトは娘を愛してる? 結婚する? じゃあ誓って! と再三確認するものの王子は即答。秒で誓った直後に嘆き悲しむオデットの姿を見て後悔する。

ちなみに王妃には「この人美しいので結婚します」と伝える。顔かい。

オディールに愛を誓うと一瞬にしてあたりが暗くなり、王子が王妃に泣きつく。

王妃も卒倒。「このバカ息子……」って感じ? 事情を知らない人にしてみれば何が何やらさっぱりだと思うのですが。

 

その後の白鳥たちの踊りがまた美しいんですよ~オデットの悲しみはまた、オデットとともに白鳥となった他の娘たちのものでもあるんですよね(?)。そうだよね? オデットに愛を誓ってたらみんな戻れるんだよね?

 

そこに王子はオデットに詫びてんのか悔やんでるのか知らないが二人で悲しみ、そこへロットバルトがやってきてオデットを攫って行く。冒頭の夢と同じように。

 

小さい頃なぜロットバルトの娘であるオディールがオデットと瓜二つなのか不思議で不思議で仕方ありませんでした。血の繋がりでもあるのか?

今も不思議に思っていますがきっと突っ込んじゃいけないところなんだよね。

オデットが呪われてる理由も気になるし……。

 

 

このヌレエフ版は王子の深層心理を表現しているとか(手の届かないオデットという理想の存在)、解釈 でググると小難しいこといっぱい書いてあります。

でも一番ぐっときたのはラストシーンから冒頭に戻り、終わらない悪夢の中にいる というやつです。つまりラストシーンもまた夢なんでしょうか。覚めない夢というのも素敵ですよね。たとえ悪夢だとしても。私は夢の世界とか日常と繋がりのある別世界表現大好きなので……。

 

とにかくカール・パケットが死ぬほどハンサムで舞台の上で光ってるので彼が出てる他の演目も観ようかな~と思っているところ。

美しい男が好きな人はみんな観るべき。

 

どうでもいいことなんだけど、「考える」というマイムがどうしても「頭くるくるぱー」のジェスチャーに見える……。