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【小説感想】推し、燃ゆ - 推しがいたことない人にも通じるのだろうか?

私って意外と本の感想書かないんだなってカテゴリみて思った。

DMMのセールで買った。

最初に言っておくけど人が死なない小説ってそもそもそんなに好きだと思わないし、心理描写ウニャウニャで主人公に主体性がない小説も割と苦手。

なので読んでいる最中から「面白いな〜」って思いながら読んでいたわけではないのだが、ブログ書いてて、こんなに色々書くこと思いついたからには面白い本なんだと思う。

 

冒頭が

推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。まだ詳細は何ひとつわかっていない。 

よい。

吾輩は猫である。名前はまだない。 

にリズムがちかい。

燃える推し、燃え続ける推し、それを見つめながらオタクとしての自分が剥がれ落ちていって最後に残る自分のアイデンティティと向き合う女子高生あかりという構図を想像していたらそういう話ではなかった。

なんと言っても推しが燃えてもあかりはファンでい続けている。

 

 

タイトルに出落ち感あるな〜って思っちゃうのが、推しの炎上とあかりの生活の崩壊は無関係なところ。

あかりは推しがいようといまいと、推しが炎上しようと活動を続けようと結局中退はしていたはず。推しが燃えてショックで鬱とかでもない。

それはある意味リアルで世の中そういう人が圧倒的多数なんだろうけど、タイトルが「推し、燃ゆ」であるからにはもっと推しに狂っていてほしかった。生活に支障をきたしているのは生来の病気のせいなので推しの炎上と何も関係がない。逆にこんなに生活が底辺極めてても推しだけ見てられる精神の強さがすごい。推しがいなくなっても、だからといって現実の生活に注力するとかではなく、推しを偲びながら当分生きていく……これが明るく見えるか暗く見えるかは人それぞれだと思うけど私はどちらかというと暗い終わりに思える。

 

推しが「人」なんだなっていう衝撃、マンションまで行かなくてもこれは身に覚えがある人結構いるんじゃないかな。

推しが「人」だって他人に言われなくてもわかってるのに、それを改めて自分で認識してしまうとちゃんと衝撃を受けてしまう。

私が日本人のアイドル好きになれない最大の理由、日本語で発信されるトーク、インタビュー記事、それらを全部ダイレクトに受け取ることができてしまうところ。海外アーティストって神秘的じゃん。自分と異なる言語、文化、宗教で生きてきている。何か発信したら翻訳を経てから私に届く。原文を読んだって私が頭の中でオリジナルを訳すんだから翻訳を経ているのと同じ。日本人は想像の範疇すぎて生々しい。バラエティとかにも出ちゃうし。こういう生々しさが「人」っぽさを作り出す。推しが「人」だと認めることは推しがうんこするって認めているようなものなんだよ。

逆に生々しさ、身近さ、人っぽさが好きな人もいると思うし、そういう人には私の考え方って意味が分からないんだろうなと思う。

 

ちょっと面白いのが、あかりの推しが所属するグループ、「握手会」や「人気投票」といった典型的アイドルグループのイベントを行っているのに男女混合というところ。

こういう売り方するグループの異性メンバーなんて双方にとって火種でしかないと思わない? 常に火種がある状態だし、多分小火程度は多発していた界隈なんじゃないかと思う。

まあそれはそれとして推しが引退会見で結婚匂わせなんかしたら爆発して死ぬ。

アイドルとか以前にグループを構成する一員としてそれはやるなよ的な失望がすごい。

どんな炎上だとしてもラストライブともなればチケット完売すると思うんだけど、ドームでやってるのに動員数千というところからも凄まじいファン離れが窺える。しかも元は人気投票をテレビ中継するようなグループですよ。東京ドームに9000人だとしてもガラッガラでしょうね(動員数に関してはミスかな?と思った描写でもあるのだけど、校正されると思うのでやっぱり意図的なものだと思う)。

 

それにしても娘がなんらかの病気という診断があるのに一人暮らしさせる親すごいな〜って思った。すごい冷たいよね。

ただでさえ高校中退というとてつもないハンデを背負っている上、高校中退するような人が孤立無援で就職できるわけなくない? 大学にだって就職ガイダンスがあるぞ。

結果娘のおうちはゴミ屋敷。

なんかこう……何もかも娘任せにするんじゃなくて最初はハロワとかに……付き添ってあげてくれって思った。匙を投げるのが早いんだよ。いや新卒はハロワじゃないか。知らんけど