【映画感想】国宝 - 吉沢亮の代表作になる
すごいすごいと聞いてはいたけど、本当にすごかった。
吉沢亮が凄い。
横浜流星も凄い。
特に前半の横浜流星は目の前の鏡を見ながら演技しているのかと思うくらい表情が良かった。
「累」で「人は誰しも自分がなりふり構わない時の表情を見ることはない。しかし役者はそれを見なくてはならない」というセリフを思い出した。
ふとした瞬間に出る表情の歪みをあれほど巧みに出せるものなのかと。
あと当たり前に渡辺謙も良い。顔に迫力がある。
渡辺謙が退場してからちょっと中弛みする。
主演が吉沢亮なんだよね〜というのが前情報として頭にインプットされすぎていて、最初「どっちが吉沢亮だっけ?」と思いながら観ていたが最初に出てくる少年2人は別俳優だった。でも喜久雄の少年役の子も売れそうな顔だなって思いました。
ストーリーは予告で見て想像されるものとほぼ変わらず。
ただ思ったより歌舞伎界・・・本人たちが思うほど厳しい血の世界だとは感じられない。
俊介は8年も身を晦ましながらホイホイ戻ってきて役持ちになれるというところに「あ〜歌舞伎の生まれだと簡単に戻って来られるのね」と思ったが、喜久雄も喜久雄で万菊さんの鶴の一声があれば戻ってこられてしまう。戻ってきたいと思ったらいつでも戻れる俊介と、呼ばれないと戻れない喜久雄はもちろん扱いに差を感じるが、万菊さんがなんで喜久雄を呼び戻す気になったのかよくわからないので・・・喜久雄がめっちゃ頑張ったわけでもないので・・・
この万菊さんから「綺麗な顔に食われる」と忠告され、渡辺謙に「歌舞伎界で親がいないのは首がないのと同じ。だから芸を磨け」と言われるが、別に顔がどうとか言われるシーンも本人が悩むシーンもないし、芸は思ったほど喜久雄を助けてくれないと思ったし(歌舞伎界を離れてから他所で名を馳せたわけでもない)伏線ぽいセリフが宙に浮いていると思った。ただ声がかかった時にいつでも戻れる状態であった(チャンスをものにできる状態だった)のは喜久雄の努力か。
あと彰子ちゃんがポッと出すぎる。
「にいちゃーん」と親しげに呼びかけてくるキャラ今までいなかったじゃん。しかも采配権を持つと思われる人物の娘として出てきて、喜久雄の追放の原因にもなり、彰子ちゃんも彰子ちゃんで親元を離れて喜久雄の不遇の時代を支えるという割と重要キャラなのに雑すぎると思った。
逆に高畑充希の物語上の存在感は凄い。
喜久雄の極道の幼馴染だが、大阪まで着いてきて、喜久雄のプロポーズをサラッと交わし、行方を晦ます俊介について行ってやがて妻として戻ってくる。
曽根崎心中の際逃げ出す俊介に寄り添って去る高畑充希・・・の前に、雨の中俊介が高畑充希の家を訪れる描写がある。高畑充希は「入る?」というが俊介は断って去る。
同行者とはこのシーンで意見が三分した。
「この時すでに家に招き入れて良いくらいの関係だったのだ」「ただならぬ様子だったからでは?」「この時俊介が入っていたら曽根崎心中の時一緒に去ることを選ばなかったのでは。内なる葛藤を安易に見せられない俊介だから一緒に立ち去ったのではないか」と。
私は曽根崎心中の時、喜久雄に置いて行かれた組として、恋愛というより連帯の気持ちで俊介を追ったのだと思った。
が、俊介は後述の通り何かあった時その気になればホイホイ歌舞伎界に戻れる強力な血筋の持ち主だ。喜久雄のそばにいるより、俊介のそばにいる方が歌舞伎界に居座れる可能性が高い。
力ある親のもとに生まれながら、親を捨て喜久雄についていき不遇な時代を支えた彰子と、極道→ホステスといういかがわしい道から梨園の妻にのぼりつめた高畑充希が、女性側での喜久雄俊介コンビのように栄光と転落が逆転しているキャラクターなのかもしれない。
高畑充希は喜久雄を取り巻く3人の女性の中で、一番喜久雄から遠く離れながら、一番喜久雄が欲したものを手にした(花井家の血、男児持ち)を手にした・・・勝者だなと思う。
メイン二人のことより、この高畑充希のことをぐるぐると考え続けてしまう。
小説を読めばまた異なる感想を持つのかもしれない。
俳優にとって「代表作があるか」って結構大事だと思うのよね。顔がすごく良くても作品がパッとしないと・・・っていうこともあるので吉沢亮が代表作と言えそうな作品を、とりあえず一作品でも手にできてよかったなと安堵の気持ちです。
【ゲーム感想】kanon - 泣きゲー…か?
もしかしてkey作品てCLANNADだけが特別に面白いだけで他そうでもないのかな……
でも思い返すとCLANNADも私には杏ルートがよかっただけで他はそこまでだったかも…?
今やったら別にそこまで良く思わない気がしてきた。
主人公に一部とはいえ声があったのは臨場感あってよかった。
容量の問題じゃないんだからもうフルボイスにすればいいのに。
割とボロクソなのでファンの人はごめん
ひょっとしたらアニメはいいのかもしれないが
続きを読む【映画感想】ミッション・インポッシブル/ファイナルレコニング - 何もわからないのに面白い
これが……アクション映画……
エンティティが核保有国のインターネットを乗っ取って世界滅亡の危機!全部の核保有国が乗っ取られるまでになんとかする!というのが本作。
面白いっちゃ面白いんですよ。アクションシーン、ハラハラするしね?
でも作戦内容がよくわからない〜〜〜私がバカなのか??
セヴァストポリから何か抜き取る、それに”毒薬”を詰めるとアフリカにあるというデータセンター的なところで何か起きるので何かする、何かするとエンティティを封じ込めることができる。
なんでそうなるのかまったくわからないが、作中のみんなは納得しているみたいだし…。
沈没したセヴァストポリから脱出のときイーサン服全部脱いでいたけど大丈夫なんか?
意外と浅かったのか? ともやもやしたけど、まあトムクルーズは絶対死なないし……ということでなんとなく自分を納得させる。
ファンによると過去作の回想とか挟まっててサービス的だったらしい。確かに過去作見ていたらあの時の…と思ったのかな、と感じるシーンは何回かあったが、ファン的には「回想しつこい」の声が目立っていた。
作戦もわからないし過去作のあれやこれやがまったくわかっていないのにそれでも映画館を出る時は「面白かった〜」と思えたのはハラハラするアクションと、小規模な目標が理解できるシーンづくりのおかげかなと思う。
意味わからないけどセヴァストポリから何かを抜かないといけないので深海に沈むセヴァストポリにわざわざイーサンは危険を冒して入り込む。ガブリエルに奪われた”毒薬”を取り戻すために飛行機上での大立ち回りがある。
それがわかるからギリ面白い、って感じで全体像は全然よくわかっていない。
シリーズファンのよく言う「大したストーリーはない」というのはこういうことなのかな。アクションが面白くなるようにストーリーができているってことなのかなと思いました。
【映画感想】リロ&スティッチ、2、スティッチ!ザ・ムービー - スティッチを知らずに生きてきました
リロ・アンド・スティッチのこと……キャラクターだけが運良く成功しただけで作品自体は駄作なんだろうなって思っててすみませんでした……めっちゃ面白い……。
昔の作品すぎるからか、身の回りに「スティッチの映画面白いよ!好き!」と言う人はひとりもいなかった。知名度の割にはあまり観たことある人・・・いないんじゃないか・・・?
観たきっかけはスティッチエンカウンターに行ったこと。
グリーティング施設かと思ってたけどタートルトーク的なアトラクションだった。
友達は「スティッチってこんな喋るんだ…」「ふわふわなんだ。ツルツルかと思ってた」「Gのエイリアンだよね?」←都市伝説らしい という反応で設定もよく知らない感じだった。
私は私でスティッチはリロの前では犬のふりを貫いているのだと思っていたので、リロからの電話に出ていてびっくりした。
とは言えやっぱり作中ではエンカウンターほどペラペラ喋らない。
スティッチはジャンバに作られた生命体で、銀河系から追放されそうになっていたところ地球に不時着。リロに犬と思われて拾われる。
リロは姉ナニと2人暮らしで、フラのお稽古でも友達と馴染めない問題児。
ナニはまだ子供を養育するような年齢じゃないためリロに振り回され気味で家庭はやや崩壊している。福祉施設のバブルスはリロの幸せのために、リロを預けるべきだと主張する。
とにかく両親を突然失ったのはナニもリロも同じなのにナニにはリロの保護者役もしなくてはならないという責任がある。2人はままならない生活に四苦八苦しつつも、お互いしか家族がいないということを強く感じている。
スティッチもまた、自分がはぐれものの迷子であることを自覚している。
リロ、ナニ、スティッチ、ジャンバ、プリークリーが家族を形作ることになるのだが、前半2人の抱える孤独というか、孤立感に胸が締め付けられる。
スティッチは動きがカサカサしていたり(都市伝説のG説はこの動きからきたんだろうな…)移動方法がまるくなって転がるとか、なかなかキモい。そもそも別に見た目可愛くはないし。
確かに記憶があるのだが、スティッチが人気を博していた2000年代前半は「キモカワイイ」という言葉が流行っていた。私はキモいと可愛いが両立するわけないと思っていたのでスティッチが好きではなかったが、作中、落ち込んだりいい子アピールをしたりマートルに殴りかかろうとするリロを止めたり(2の話)その存在は「かわいい」としか言いようがない。 グッズとかになっている顔は別に可愛くないのだが…作中は可愛い……。
2もすごくよくできた続編で、もともと前作で好きになっていたリロたちのことをもっと好きになれる。ラスト、誰もいない会場でみんなでフラを踊るシーンでマジ泣きしました。
でもマートルとかいうクソガキがなぜ先生に怒られず、リロばかりが怒られているのかは納得いかない!!
こんなにも完璧な2を観た後では、そのさらに続編の「スティッチ!ザ・ムービー」は全然面白くなかったが、この話がTVシリーズに繋がるらしい。
なんで続編がTVアニメなんだよ…マーベルかよ…と思いながら一応視聴予定です。
実写も気になる
【ゲーム感想】メタファー:リファンタジオ - 世界観の作り込みがすごい
PV系を一切観ないでプレイしたのでストーリー中「こいつ仲間になるんだ!」っていう驚きが結構あって楽しかった。
これはネタバレを絶対踏まずにプレイしてもらいたい・・・
ファンタジー世界のペルソナって感じで、ペルソナ的な能力(アーキタイプ)があり、主人公以外のキャラクターもそれぞれ付け替えられる(終盤固有アーキタイプあり)。
終盤に固有アーキタイプがあるが、それを見越して育成しないと習得できないのかというと別にそうでもない。私は結構自由にやっていたけど条件判明してからアイテムで育成しても十分間に合う。
ただ戦闘中のアーキタイプ付け替えができないので、炎弱点のボスに対し炎使えるキャラが一人もいないとかが起こり得る。これに対しても街にいる風聞屋が受注しているクエストのボスの弱点とかおすすめの攻撃手段を教えてくれるので予め対処していけば大丈夫。フィールド上ではどこでも付け替えが可能。
攻略サイト要らずというか、攻略サイトを見るとネタバレ喰らいやすいので開発がその辺配慮しているのかなと思った。
種族が8種類も出てきて、カタカナ固有名詞のオンパレードでどの種族が差別されていてどの種族が力を持っているのか、というこの世界の価値観に馴染めるのか序盤こそ心配だったけど、これが本当によく・・・話がまとまっている。違和感のない世界観ができていて、せっかくこれだけ作り上げたのが一作品完結ではもったいない気がするレベルなので後継作が出てほしい。
そして地味にすごいと思っているのが、ストーリーのストレスフリーさ。
もちろんこの世界には差別と偏見が満ちているが、良くないことは良くないこととして描写されている。ペルソナありがちのギリギリの仲間弄りみたいなのがなくて良かった。まあこの世界観でそれをしたらテーマ崩壊なのが制作陣にもよくわかっていたのだと思うが、それで逆にペルソナの時はわかっててやってんだなと思った。
以下ネタバレ
続きを読む【映画感想】ウィキッド ふたりの魔女 - 意外とアメコミみたいな話なんだな
観てきました
ちなみに舞台の方まったく知らないし、オズの魔法使いについても有名な映画の方は知らない。話は昔児童書で読んで知っているけど。
(原題:Wicked part1)
テキトーなあらすじ
善の魔女グリンダは西の魔女”ウィキッド”が死んだニュースを伝えるが、昔友達でもあったことを語る。
160分で結構辛い長い。
グリンダは大学内で唯一ピンクの目立つ服を着ていたりブロンドだったりアリアナだったりで視聴者目線では目を引く存在だが、作中でモブがグリンダに対して「素敵」とか「憧れる」みたいなことを言ったり感じていたりしそうな描写は特にない。「エルファバのルームメイトになってあげて優しい」くらい。
エルファバに対しては露骨に眉を顰め、王子様であるフィエロの目を引こうとするモブが、周囲よりなんらかの理由で優れているらしいグリンダに対してはフラットな姿勢なのが奇妙だ。「人気者」の設定が見えてこない。それともステレオタイプな「ブロンド」であるというだけで人気者描写は十分なのだろうか。
作中では個室があり大量の荷物を持っているなど、裕福そうな描写があるが、親が何者なのかは言及されない。エルファバは「総督の娘」と連呼されるのに。
あとグリンダは親から愛されてきたはずなのにどうして性格が曲がっているのかも納得いかない。エルファバは降って湧いたような突然のグリンダの親切(ではないのだが、エルファバがそう捉えた)を素直に受け取れるのも納得いかない。
これが舞台なら、主役じゃないっぽいし尺の都合もあるし「そういうキャラなんだね」で終わるが、映画で長尺をとって邦題も「ふたりの魔女」で両方主役ぽいので、エルファバと比較してグリンダの描写が際立って薄く見える。
あと歌にあまりいいナンバーがない…1部だけだからかもしれないけど。
動物が教職を追われさえする時に王様はなんとかしてくれると思うエルファバの思考回路も不思議だ。こんなことに中央が噛んでいないわけがないだろ。
それはそれとしてミシェル・ヨーの視線の演技力がすごいのだわ。
モリブル先生になら騙されてもいいです。
この先の話が別に気にならないんだけど、来年後半を観に行くかどうか…
期待しすぎたのかもしれない
【ゲーム感想】Ever17-the out of infinity- - 積極的におすすめはしないが……
評価が高いのは知っていた。PSPの頃くらいから。
switchでこのほどNever7とのダブルパックが出るとのことで購入。
Never7は令和の今やるのは厳しい感じだった…いくら当時は斬新だとか言われていたとしても、ループものの出来がいいもの、今はすでにたくさんあるので…
(実は途中でやめている、評価覆ったらごめん)
Ever17の方は最終ルートが怒涛の伏線回収と言われているだけあり、最終ルートは(若干解決方法が力技というかご都合とはいえ)答え合わせの連続。「なるほどね」と思うこともあれば最後のおまけっぽいシナリオは蛇足というか冗長と言ってもいいのではと思うくらいくどく感じた(最後のシナリオは最終ルートと連続していない)
だから最終ルートをプレイ後には人に薦めるに足る作品のように感じる。
でも…でもさ!
それに至るまでがかなりつまらないんですよ…
1週目はまだいい。どこが壊れてどんな修理でどんな展開っていうのもわからないし、いい。
でも2週目に壊れるところ同じなんだよね。
個別ルートに入っても結局似たような展開を辿る(施設からの脱出という共通目的がある以上仕方ないけど)。似たような展開で似たような文章のはずなのに既読扱いではないのでスキップできない。
最終ルートよりそれまでに至る数ルートの方がプレイ時間は遥かに長い。つまり大部分がつまらない。
そしてどこが壊れてどこを修理して……という話も読んでいて面白い話ではないし、かと言って仲間同士のわちゃわちゃシーンが楽しいのかと言われると全然そんなことはない。ここで楽しい日常シーンであるかのように入ってくる缶蹴りに、説明し切れない部分があったように思うのだが、あってもなくても良い演出のように感じた。読んでても面白くないし、終わった後「あれは何だったんだ?」と思うから。
こんな退屈な序盤〜中盤だが、リメイク前はもっと冗長だったらしい。
これ以上に!?!?
リメイク前に最後までやり切った人すごいな。
他社の作品を引き合いに出すとリトバスが好きな人はいけるかもしれない。あれも最終ありきの、単体ではいまいちな個別、って作品だったので……
私はCLANNADみたいにある程度個別にも個別単体の面白さがないと辛いタイプなので……。
個別がつまらないとキャラのこと好きになれないし、好きになれなかったキャラがハッピーエンドを迎えても喜びが薄いので……
図書館で適当に借りた推理小説を読んでいるとき、「これつまらないな」と思うことがある。
つまらないと思いつつ、でも犯人を知るまでは読もうと思う、そんな感じ。
トリックすごいけど「そっか〜」って感じ。
多分高評価を聞きすぎた。
もしプレイするならやっぱり中学生だか高校生の頃、まだ感性がフレッシュだった頃にやらなきゃいけなかったのかも。なんとなく自分の老いを感じた。