Netflixで観られます!!
このコロナで外出できない間に全部観よう!!
私は職場で涙ぐみながら観ていた。
職場にいるアジア人の同僚達が異口同音に「面白い」と言っていたので観てみることにしたこのドラマ。勧められなきゃ絶対観ない邦題、絶対観ないあらすじ……。
ただロマンスじゃなくてコメディもあるし面白いから観てくれ。
ちなみに記事の『10年』の根拠はかつて中学生だったか高校生だったかの私を夢中にさせたドラマ「美男ですね」が大体10年前だから。少なくともドラマをあまり観ない私が完走して褒めている時点であれを上回っている。つーか韓ドラ自体美男ですねぶり。
これね……あの……ちょっと昔の少女漫画っぽさがすごく詰め込まれているの。
これ伝わってほしいんだけど、
今の少女漫画ってすごくパーソナルというか、主人公の身近にしか世界がないけど、
ちょっと昔の少女漫画ってやたらめったらグローバルじゃない?
本来なら主人公の生きる世界とは全然擦りもしないような世界とうっかり擦って、
なんだかんだ悪事が暴かれたり主人公の出生の秘密が明らかになったりするあの感じ。
でもすっごく踏み込みはしない。そこは少女漫画だから。で、単行本にしてもあまり長くはない。
……って感じのあのスケール感。単に主人公とその相手の恋愛だけでは終わらせないところ。
恋愛漫画なのに妙にスケールが大きめで妙にグローバルで……っていうのが私の”ちょっと昔の少女漫画像”なんだけど、これがまさにそれ。
そして少女漫画のヒロインはお嬢様で、ヒーローは軍人というのは鉄板なんだ。
あれ? はいからさんか……?
テキトーなあらすじ
ユン・セリはパラグライダーのテスト飛行中に軍事境界線を越えて北朝鮮に不時着してしまう。韓国に帰るためにセリを発見した軍人リ・ジョンヒョクに協力してもらうことになるが……。
北朝鮮人と韓国人が交流するの、これの他にはJSAしか知らないので地雷踏んじゃうのはあるあるなのかな?と思った。
北朝鮮(グローバル化の進んでいない土地)でもし万が一少しの期間だけでも過ごせって言われたら気になるのが、まず化粧どうするの?ヘアケアどうなるの?ってことだと思う。
セリだって最初こそ小綺麗にしているけどそのうち薄汚れていくわけ。
ここのリアリティの心配をしていたら、ジョンヒョクがあろうことか韓国製(?)の基礎化粧品とかシャンプーとか下着とか買ってきてくれて、こんな気の利く男がいてたまるかと強く思った。
「全部ください」と言っていたのでよくわからず全部買ったらそこにたまたま基礎化粧品が含まれていたのだろうけど、よくわからん居候のために(しかも危険を冒して匿っている)「そうだ、化粧品とか下着とか要るな」って思う????? そしてそれを頼まれてもいないのに買ってきてあげる???? しかもこの後セリが「ないと眠れない」とわがままを言ったアロマキャンドルも買ってきてくれる。最初普通の蝋燭を買ってきてしまって「これじゃない」って言われるんですけどその後ちゃんと正しいのを買ってくる。
こんな男が実在したら博物館で展示した方がいい。
私なら絶対買わないし多分そこまで気が利かない。
それにセリが別れ際に庭に植えたトマトに「毎日10こ綺麗な言葉をかけて」って言うんだけど(植物に「ありがとう」って言うとかそういうやつ。日本以外にもあるんだ〜と思ったけど韓国?朝鮮?ではフレーズというより単語っぽい)、「そんなわけがない」と言いつつトマトに向かって「霜」「初雪」とか声をかける。
これがジョンヒョクの考える「綺麗な言葉」なんだなって思うとも〜〜〜〜〜少女漫画なの?ってくらいピュア。ピュアピュアのピュア。っていうか今時少女漫画でもこんなキャラクターはいないと思う。私は俺様なイケメンよりわかりやすく優しいイケメンが好きなのでコロッと落ちた。セリは「ストップ高」とか「限定版」とか商業的な言葉をかけるんですが、この生きる世界の違い、尊い。
この時点でまだ3話なのにこの女の理想全部盛りのジョンヒョクに皆惚れる。
こんな男がいるわけがない。いたとしたら多分相当のスケコマシだ。
それなのにこの男初恋がセリなの。
そんなことある???? 絶対にない。
吉本ばななの小説に登場する男と同じくらい現実味がない。
セリはセリで鼻持ちならない奴って感じの性格なんだけど最終的にはちょっと丸くなるし、私は初期のこの気の強さも嫌いじゃない。
そして、北朝鮮って何があって何がないのかよくわからないじゃん。
だから、セリもそうだと思うけど、隣国とは言え異世界に迷い込んだくらいのギャップがある。それが面白い。北朝鮮も韓国のことをよく知らないから、セリが韓国のことを話しても「そんなわけがない」「誇張だ」と言われる。
セリは韓国に戻れば仕事で大成功しているけど、家族(というかお兄さんたち)は後継者にセリが指名されていることで戻ってこなければいいと思っている。
長兄夫妻は憎めない感じ(後継者にはなりたいけどセリを本気で追い落とそうとまで思っていない感じ)だが、次兄夫妻はやることが悪どい。
そして母親とは血が繋がっていない! ん〜〜韓ドラ〜〜!!
このなんでも持っているように見える人の孤独、大好物すぎるんだよな……。
そしてこの二人は主役格だからなんだかんだあっても最終的にはくっつくんでしょ的な安心感があるけど、もしかしてスンジュン死んじゃうんじゃない? ってハラハラしていたのがダン&スンジュンカップル。ここも南北カップルなんだけどダンが可愛い
ダンは顔も綺麗なんだけど、この不器用さ。この表情。愛せる。
そもそも私は韓国の薄幸美女的な顔が大好き。
そしてスンジュンがね……ダンに比べてストレートめで、でもダンのクールな反応を誤解しない!!「ダンさんが好きだから進むべき道を行く」って言った時死亡フラグを感じすぎて卒倒しそうになったが、この二人にとって「愛し合った」という経験がそもそも一緒に生きていくことより大事だっただろうなと思ったのでまあこれでいいのかな……。
もうね、なんでこう……丸っと全員ハッピーエンドにできないんだと歯噛みする反面、スンジュンを失った後も強く生きているダンが大好きすぎるし、「輝いていてくれ」としか思えないね。ダン……大きな成功を手にしてください……。
北朝鮮でセリに関わった人たちのその後も綺麗に「みんなちゃんと幸せにしてますよ」っていうのを示してくれて良かった。こういうのを見せてくれると100%安心できるので好き。
北朝鮮の村民みたいな、調子のいい脇役が大好き。
このドラマの面白さの多くはこの北朝鮮の異文化感。韓国だけでなくアメリカとかイギリスとか、どの先進国が舞台でもそうなんだけど、日本人が観ても文化的に予想外なことって起こらないじゃん。もちろん細部には独特なその国特有の事象があることもあるけど、先進国なんだから街ではWi-Fiがとんでいて当たり前で、電気はついて当たり前、どこに行くにも基本制限なんてなくて当たり前で、出入国だって自由にできる。でも北朝鮮のことってよくわからないから「平壌に住んでいるわけでもないのに学校があって、子供達がそこに通うことができるのか?」とか、「闇取引みたいになっているとはいえ輸入品が手に入るのか?」とか、「スマホがあるのにアプリを店で買うってどうやって……」とか、「庶民(??)が外食できる店があるのか」とか、「庶民が入院して医療費を払えるのだろうか、それとも庶民じゃないのだろうか」など、「本当にそうなの??」っていう描写がたくさんあった。
韓国ドラマで庶民の韓国人が学校に通っていたって何も疑問に思わないし、むしろ通っていない方が「なんか理由が?」ってなるじゃん。
それを、北朝鮮が私の認識以上に遅れていると思っているのかもしれないし、もしかしたら本当はもっと進んでいるのかもしれないし、でも調べようもないし、マジで異世界。
ちなみにこのドラマについて、北朝鮮は「北朝鮮が後進国のように描かれている」と非難したそう。
でも私はもしこのドラマに描かれている北朝鮮が実態に近いなら「思っていたより進んでいるんだな」と思う。
こういうのをどうやって取材するんだろう。
前半は「マンボク死んじゃうのでは?」後半は「スンジュン死んじゃうのでは?」と話が進むにつれて展開がハラハラすぎて、多少ご都合主義でも全然構わないから、もう全員幸せになって早く終わらせてくれと思ったけど、最終回を目前に「これ終わったら何を楽しみにしていれば?」という気持ちに襲われ、たっぷり3週間は最終回を観なかった。何をやっているんだ。
ツッコミどころはあるドラマなんだけど、視聴者の「そんなことあるのか?」っていうのを「あるったらあるんだよ!!」と叩き潰すような勢いがあるので、どんどん感覚が麻痺していくし、最終的には何もかもが「運命だから仕方ないね」で片付けてしまいたくなる。
説得力って合理的かどうかというよりも勢いによる部分もあるよなって思った。
あとこのドラマはどんな国にいても権力がいかに大事かを教えてくれたように思う。
権力大事。