月と星のエンタメ感想ブログ、

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【感想】ファクトフルネス - さっくり読める話題の本

最近本屋に平積みになっているのをよく見かける本なので、ご存知の方も多いのでは。

どういう内容かっていうと「人口は増え続けているのか?」「地球の平均気温は今後100年どうなっていくのか?」とかそんな感じの内容なんですけど「まぁそうだよね」っていうのもあれば「は??」って思うのもある。

この「は??」って思う部分が多いとこの本つまらないと思ってしまうのではないかと思う。 

この本で「情報には賞味期限がある」って書かれてるんだけどまさしくこの本自体賞味期限が設定されているに等しい本で、読むなら今読まないとあっという間に時代遅れになると思うんだよね、いつもはこんな本買わないんだけど(普段は芸術関係の写真集とかオーパーツとかの眉唾本買ってる)。

 

せっかくナウい本買ったからちょっと感想をば。

……主に「は?」と思った点について。

 

・第4章の「恐怖本能」

この章が言いたいことはわかる。でも細々した例が、「え?それも?」って思うようなことなの。読んでない人にはわかりづらいかもしれないけど。

 

福島原発事故で避難した住民の1,600人が避難後に亡くなった。避難した人たちは被爆を恐れて避難したが、彼らの死因は避難の影響による体調変化やストレス」

DDT(「沈黙の春」で批判されまくってた殺虫剤)が直接の原因で死んだ人はいない」

 

これ見て「ふ〜んそうなんだ! 私たちは被爆DDTの影響を深刻に考えすぎているんだね〜〜!」なんて思う奴がいたら脳内にチューリップとか咲いてると思う。

そりゃそうだわって思った。私は。

放射能にしろDDTにしろ、長期にわたって人体に悪影響がある可能性があるから懸念されているわけでしょ。実際、規制がかかったからこそDDTによる被害というのがなかったんじゃないの? 被爆による健康被害がすぐには出ないのも当然だし、避難生活がストレスを溜めるから避難をするべきじゃないとでも?

もし仮にDDTによる影響が出てくるとしたら、規制されなかった場合に、何年も後に、影響が見られるんじゃないの?

 

「醤油をがぶ飲みしたら死ぬ=醤油は危険!」っていう考えがばっかばかしいっていうなら理解できるけど、上記2つの例だけは本当にこの説明をするのには相応しくないと思った。

 

・貧困のレベルが違う

以下難癖、というか、著者が私のこの見解聞いたら「それは違う」って言いそう。

世界の人口を10億人ずつ、4つの所得レベルに分けているんですが、この分類がね……。本の冒頭で「世界のほとんどは中所得国に属する」というのが答えのクイズがあって、私もこれは正解したんだけど、実際私が考えていたのだと、レベル3以下って全部「極度の貧困」だと思った。この実態なのに中所得なのかな。

「この本を読んでいる人はおそらくレベル4だし生まれた時からレベル4の人が下3レベルの差を実感するのは難しいしどれも大差なく見えるかもしれない」って書かれてて、それはその通りなんだけど、相対的な貧困も属する社会によっては「極度な貧困」になりうると思うんだよね。レベル4にいるから豊かだという訳ではないと思うし、世界よりもまず狭い国家で暮らしているわけだから、その国の中の下位数%っていうのはレベル3以下の人たちと同様に助けが必要な存在なのでは……?

その国全体がレベル1の中にいて自分がレベル1なのと、みんなレベル4なのに自分がレベル3なのだったら、後者の方が生きづらいと思う。

 

 

そんなわけで、ほとんどの場合、言いたいことはわかるし興味深い内容だったんだけど、「え?」って思うこともあった……かな。でもこんなにヒットしてるんだし読めば面白いから一読の価値はあると思う。