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【ドラマ感想】高い城の男 - なぜ誰もこのイケオジの存在を教えてくれなかったんですか

ジョン・スミス親衛隊大将〜〜〜!!!!!!

 

小説でも感じなかったわけではないが、ドラマではそのトンチキジャパンぷりを存分に味わえる。

畳っぽいのに土足だったり襖っぽい扉をど真ん中から両開きにしたり謎の角や鎧がごちゃごちゃ飾られていたり、苦笑いするレベルですごいけど、まあ日本じゃなくて日本太平洋合衆国なんで……アメリカ人のセンスも多分に取り込んだ国なのでしょう。……と思っていたら大して愉快でもないシーンでSUKIYAKIが流れて、もう、もう……笑

ちょっと萎えそうになるレベルだがその時は「日本太平洋合衆国なんで!!!!」と強く自分に言い聞かせよう。ドイツ人の反応が知りたい、私は何とも思わなかったけどナチスも実はトンチキナチスだったりしないのかな。

 

原作では1冊しかない本を4シーズンにわたって引き延ばしている時点でお察しすぎて観るつもりが一切なかったが、最近原作読み返してこのドラマの評判調べたら話が全然違うそうなので(評判も結構良さそうで完結しているので)観てみることに。

原作はどう考えても映像映えしない話なので、そこはよくできていると思った。

 

テキトーなあらすじ

WWIIで日本とドイツが勝ち、アメリカを東西で分割統治している世界(真ん中は中立地帯)。

ジュリアナは妹のトルーディからあるフィルム「イナゴ身重く横たわる」を託される。そのフィルムはWWIIで連合国が勝つニュース映画だった。

 

主に3陣営あり、スミス大将メインの大ナチス帝国と田上通商大臣メインの日本太平洋合衆国、ジュリアナとフリンク(とジョー?)を中心に展開するレジスタンスがある。ジョーはスミス大将の部下でナチスのスパイであり、この3人を追っている木戸は憲兵隊の警部で日本側。レジスタンスがフィルムを巡ってわちゃわちゃするので多分ここが本筋だがびっくりするほどつまらない。

ジュリアナ、フリンク、ジョーは原作でも主要人物として出てくるが設定がかなり異なる。

ドラマのジュリアナは疫病神のトラブルメーカーでとにかく自分のお気持ちに添うことしか考えていない上、とにかく何も説明をしない。レジスタンスにもよくキレられている。フリンクはジュリアナに訳もわからないまま巻き込まれ、憲兵隊に拘束され、妹と甥と姪を失い、自分もその恨みから皇太子の襲撃を企てて追われる身となり(自業自得すぎる)日本に対するヘイトを溜める。この2人の逃亡の手助けをするのが慈悲の心を持つ男、エドだ。フリンクの同僚だが親友で、2人が逃げられるようにバスを手配したりお金をくれたりする。ジュリアナとフリンクはエドの爪の垢でも煎じて飲むべき。ジョーはジョーでスミス大将の命令を聞かなきゃ……でもジュリアナのことを助けたい……と板挟みになる。絶対そんな大した女じゃないって!!

 

「イナゴ身重く横たわる」は原作では単なるベストセラー小説であり、ドイツ支配地域では発禁、日本支配地域では「東では発禁です!」を謳い文句にして堂々と販売されている。

この小説は作家が易(占い)をしながら書いた本で、この本に書かれていることが真実であるということを複数人が易を通して知るという、メタフィクションになっている。ちなみに連合国が勝つとはいっても我々の生きる世界とはちょっと違う。

そこで終わり。易はこの世界では比較的市民権を得ている方針決定の方法であり、田上の他にも複数キャラが使用しているがドラマでは田上しかやらないので田上の趣味みたいになっている。

 

日本側では皇太子の襲撃犯が誰かを探っていたが、犯人はナチスの少佐だったので木戸警部は彼を殺し、ナチスとの戦争回避のため(戦ったら絶対負けるから)新しい犯人を仕立てることにする。

 

原作にはまっったく登場しないキャラの1人「ジョン・スミス」。

彼のストーリーラインが一番面白い。彼はアメリカ人でありながら元敵国で親衛隊大将にまでのぼりつめ、ジョーの直属の上司であり、フィルムをジョーに回収させようとするがジョーの色ボケポンコツのせいでうまくいかない。

レーダー(部下)と一緒に車で移動している途中レジスタンスに襲われた後、レジスタンスを「湧き続けるシラミ」呼ばわりする部下に対して「シラミは将校を殺さん 君はテロリストを虫に喩えるのが好きだが、油断するな。奴らは危険だ」と忠告する。このセリフのおかげでレーダーはお亡くなりになったかと思ったが、大怪我で済んだようで後々出てくる。ライツ大尉とレーダーを私がごっちゃにしていたのでこの辺の生死がよくわからなかったが、ライツ大尉はお亡くなりである。

スミスは誰が自分の通行ルートを漏らしたのか調べる。また、親友であるウェゲナーと空港で会った際は家に招いてもてなす。その中で彼が自分に隠し事をしているなら話してほしいと思っていたが、話さなかったので逮捕することを選ぶ。

油断ならない大敵ポジションかと思いきや、敵に非情でありつつ家族思いで家では良き夫良き父であり、観てて何度「パパ〜!」って言いたくなったことか。制服もかっこいいが休日のパパ感溢れるカーディガン姿が好き。

ウェゲナーのことも逮捕はしたが拷問することなくただ拘束するにとどめている。

 

ハイドリヒの命令でスミスの通行ルートを漏らしたのが自分の部下だと確信した時高層ビルの上から突き落とすのは、ないはずのタマが縮んだ。いっそ最初の時に銃殺していてくれた方が……。

ハイドリヒが突然訪問してきた時、部下がコーヒーを出して、その部下がハイドリヒのコーヒーの好みを知っていたことから彼への不信が確信に変わるんだけど後からこのコーヒーだすシーン見返したら、砂糖見ながらすごい渋い表情しててめちゃくちゃよかった。観察眼がすごい。こういうのを見過ごしているようじゃのしあがれないんでしょうね。

ここでハイドリヒが「ところで君の息子は○▽×※○(字幕なし)……」と言い、一瞬の間を置いてスミスが「私より上手ですよ」と言う。ハイドリヒは「君は苦手だったな。それなのに大出世して総統の信頼も厚い」と続ける。この字幕なし部分はドイツ語なのだが、あまりにもナチュラルに字幕がないので聞き取らなくても問題ない箇所かと思った。S1のドイツ語には全部字幕がなく、吹き替えにすれば何を言っているのかわかる。ちなみに上記は「ドイツ語ができるのか?」と聞いている。この後ベルリンでかなり長いことドイツ語になるのに字幕なしで進行するのを不自然に思って切り替えたので判明した。Twitter見てみたら字幕出てこない人と出てくる人がいるっぽい。

 

ハイドリヒはウェゲナーの引き渡しを要求し、総統殺しに利用しようとしていた。ちなみにウェゲナーがスミスに話さなかった罪は日本の科学大臣に原爆の設計図を渡していたこと。めちゃくちゃ大罪!!!!これを手引きしていたのは田上だが、田上はナチスと同等の力を持つことで抑止力にしたいと考えていた。

 

ハイドリヒはスミスを狩りに連れ出すが、ベルリンで総統殺しが失敗し、反撃にあい、失脚してしまいましたとさ。生きてはいる。ちゃんちゃん。

原作ではハイドリヒは、ジュリアナが「次の首相がハイドリヒだったら嫌だな〜シーラッハがいい。」と思うところくらいでしか出てこない。

(追記:読み返してみたら大嘘だった、普通にゲッベルスの対抗馬だった。原作ではSS長官)

 

次はシーズン2!!!!