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【映画感想】ザ・メニュー - 与える側の傲慢さが炸裂

ディズニープラスで配信中だが、ジャンルがホラー/コメディになっている。

コメディ要素……どこだ。ホラーというのもサスペンスというのもなんだか違う気がする。理不尽ホラーって感じ。鑑賞後の気持ちだと聖なる鹿殺しに近い。聖なる鹿殺しのホラー薄い版って感じ。

 

この客たちが12人なのは最後の晩餐に由来するらしいというのを鑑賞前に聞いてめちゃくちゃ嫌な予感がした。宗教を絡めるのはつまらないオサレホラー映画あるあるだからだ。

 

テキトーなあらすじ

シェフの心中に付き合わされる

 

シェフがなぜ客たちを殺そうとしたのかは一応理由づけが作中である。

食事を味わうことをせず、高級レストランに通うという虚栄心を満たすためだけに自身の料理を食う客たちを裁きたいようだ。

しかし作中でもっともらしく語られる割に、メニューに皮肉を込める割に、…………理由になってない。多分理由あとから考えたでしょ。しかも考えるの途中で諦めたでしょ。

タコスに罪を描くのはなかなか面白かったが……。

 

しかしサービスを提供しておきながら、受け取る側に罪を着せる姿勢は意味がわからない。両者いなければ成り立たない、サービス業ってそういうものだよねとしか思えなかった。

自分を持ち上げておきながら他の幾多の料理家を潰したという評論家も、評論家ってそういうものだしそういう人がいたから料理を生業にできたのだろうし、常連客が前回食べたもの覚えてないとか脳トレかよと思ったし、こんなのどちらかというと記憶に残らないもの提供した側の罪では? 客は日々食事だけをして生きているのか?

 

それに、シェフの休日に退屈なものを見せた(理不尽〜!)という理由で犠牲者になった落ち目の役者はシェフの論理に当てはめると「与える側」じゃないのか? シェフの休日の安らぎを奪ったから「奪う側」か? この役者の連れはもっと理不尽で「大学にローンなしで通ってる」ことが理由。もう無差別殺人の域じゃん。みんな死ぬじゃん。

こんなことまで言い出したらシェフの殺したい人間なんてこれっぽちなわけがない。

最初は惹きつけられていたのに、この2人のせいで皮肉にも風刺にもならなかったしシェフの動機なんて何でもよかったんだろうなと思った。役者のことだけなら、制作側の意図としては「与える側」と自負するシェフも「奪う側」の傲慢さを持ち合わせ、それに自覚的ではないということなのかもしれないが、大学生にその理屈は当てはまらないので(与える側でも奪う側でもないので)多分意図したことじゃないと思う。

 

他にも色々腑に落ちないことはある。特になぜか心中に付き合ってあげる料理人側とか。孤島での集団生活の中で気が狂ったんだろうか。

 

演出もいいし役者もいいのにストーリーで台無し。これが劇場公開されてたってマジ?

Netflixオリジナルかと思いましたわ(ちくちく言葉)

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