まだやっているならSISU観た方が100倍楽しい。
意外とXでは賞賛ポストが多く、「嘘でしょ!?」と思った。
シンプルに話が面白くない。
映像、演技、美術を賞賛するのは分かる。戦争シーンとか宮廷のシーン(ダヴィドの『ナポレオンの戴冠』再現シーンなど)も壮観だったし、特に戦争シーン(アウステルリッツとか)には凄みもあって力の入れようが伝わってくる出来だった。
でも150分そこらでマリー・アントワネットの処刑からナポレオンの死まで詰め込んでいると言ったらその詰め込みっぷりと駆け足っぷりが伝わるのではないだろうか……。あらゆる戦争が急に始まって急に終わる。
ナポレオンの半生を描きましたと言われたら「そうだね」という感じだけどここに起承転結がない。いつの間にか皇帝に成り上がり、いつの間にか失脚しているという印象を受ける。
ナポレオンにはわかりやすく栄枯盛衰があるのだからやろうと思えば起承転結を作れたと思うが、なぜかここを平坦にしている(起承転結を鑑賞者の知識に委ねているのかも)。
「私ナポレオンのことよく知らないんだけど大丈夫かな」と思っていた私ですら、「知っているエピソードばかりだったな」と思った。これを観てさらにナポレオンのことを知りたいなどと思う人はあまりいないのでは……? 子供向けのナポレオンの伝記とか読んだら大体載っていることだろう。
ところでナポレオンをよく知らない私にとってはこの映画のナポレオンはイメージ通りだが、他の鑑賞者の方々はこの映画で描かれたジョゼフィーヌってイメージ通りでしたか??
ジョゼフィーヌの人となりが伝わってこないというか、何考えているのかわからない風なのはナポレオン視点なのだろうか。私のジョゼフィーヌのイメージは貴族的な女性のいい部分も悪い部分も持っている女性で、こういう力強さやしたたかさや芯の強さが表面に出ているようなイメージはないんだよね……。この映画のジョゼフィーヌ、社交上手には見えなくない?
ジョゼフィーヌをファムファタール的に描くのはなんとなく……解釈違いだ……。
知り合いじゃないから知らんけどさ
ところでナポレオンの最期の言葉が「フランス、陸軍、ジョゼフィーヌ」でしたというのは映画でやってたけどジョゼフィーヌの最期の言葉も「ナポレオン」とかだったでしょ。
これがあるとないとでは結構印象違くない?
ナポレオンのジョゼフィーヌへの気持ちは最初は恋愛感情でそのうちその類の感情は冷め、ジョゼフィーヌはジョゼフィーヌで最初ナポレオンの感情を受け止めていなかったのが次第に(特にエルバ島に流されてからは)親身になり、お互い時期的にはすれ違っていた感情が最期は同じものになったところに私はロマンスを感じるんだけど。だから私は婚約指輪ショーメがいいな!!ってめちゃくちゃ思っているわけなんだ……。
出世と、ジョゼフィーヌとの関係を対比にするには両方描写がぬるっとしすぎていると思う。
この映画だと一生ナポレオンの片思いみたいに見えるよ……。
なんとなく監督はジョゼフィーヌとの関係よりは戦争スペクタクルを描きたかったのかなと思ったし、逆にホアキンの演技は日常シーンに気合い入ったのかなという気がするんだけど、どうなの? 教えて!パンフ買った人