え〜〜もう中盤まで登場人物全員キライだった。V先生以外。
予告が全部ネタバレしているような予告だったので特に畳まないでおくね。
(原題:Coda)
テキトーなあらすじ
ルビーは家族で唯一の健聴者。通訳のために家族から離れられない生活を送っているが、合唱の先生に才能を見出され、音楽大学への進学を希望する。
この……V先生がほんと素晴らしい先生でね……自分でも「教師が天職だ」と言っていたけどマジでその通りだった。天職だった。めちゃくちゃルビーに目をかけてくれている。
家族は聾唖の一家として周りからちょっと浮いていて、ルビーはそのことで周囲と馴染めなかったことがある(そして今もそんなに馴染めていない)。家族は自分たちが周囲から浮いていることを自覚しながら、友達の前でもお構いなく変わり者っぷりを発揮し続けるのでルビーには辛い環境だなって思ったんだよね。でもこれ……聾唖だとか健聴だとかの問題なのかな。母親一歩間違えば毒親の類では?って思うくらい酷かったんだけど。
「健聴だったら、理解しあえないと思ったから、ルビーが生まれたとき健聴と知ってがっかりした」って言っていたけど(一応いいシーン)、ルビーが歌が好きなのを「反抗期なのね。私が盲目だったら絵を描いていたでしょ」って言っていたので理解する気がないのはお前だろという気持ちでいっぱいになった。高校生になるまで育ててきて、この言葉……ド無神経じゃない? ルビーが家族のために自分の夢を犠牲にすることを一番何とも思っていないの、母親なのよね。才能を信じられないだけじゃなくて、娘の夢を犠牲にしてまで家族仲良くを貫こうとしなくてもいいのに。頼りにしているのは健聴だっていう部分だけで、内心ではルビーが独り立ちできるほどのしっかり者だとは思っていない感じ。
受験も「父親が説得してくれたんだろうなあ」としか思えなかったので母親に対しては最後まで悪印象だった。
まあルビーは夢の割には努力を感じられない(練習しているシーンはほとんどないし、家族から理解を得る努力も怠り気味)ので母親の意見を覆せないのは無理もないけど……。
ルビーはルビーで遅刻を繰り返すなら先生にスケジュールをそもそも遅らせてくれるように頼むとか、取材が急に入ったら電話しておくとか、漁にだって行かないなら行かないと言っておくとか、なんで伝達を怠るのか理解できない……。
遅刻しておいて「20分くらい」とかさ……1分でも遅れたら遅刻は遅刻なんだよ……。先生の貴重な時間が……。
父親はコンサートでルビーが歌うのを見て(歌っている姿と、観客の反応を見て)歌うことに理解を示してくれ、ここの音楽が消えて父親の見ている景色になる演出も、家に戻った後歌ってもらいながらルビーの喉の震えに触れるのもめっちゃくちゃよかった。ルビーが試験の時に2階席の家族にも歌詞が伝わるように手話を交えながら歌ったのもよかった……。家に帰ってきてからの会話がなかったら、こういうことしなかったと思うんだよね。
それにしても、遅刻してきた上に楽譜も忘れて、家族が会場に入ってきちゃっていても試験受けさせてくれてちゃんと合格くれる大学……寛容だな。ここでV先生が伴奏してくれたのも、ルビーが実力を発揮できていない時にわざとミスって「最初から……」ってやり直してくれるの、(せこいけど)ほんと好き。ほんと好きだし、ルビーの家族に会ったときに動画で学んだ手話を(間違ってても)披露してくれるのコミュ力高くない? こういうことができる人が好かれるんだろうなあ……。挨拶だけでも練習しておいてくれるのめちゃくちゃいい人。
とにかくルビーの成功は、V先生が匙を投げることなく根気よくチャンスを何度も与えてくれたからこそあるものなのでルビー良かったねというよりは「V先生に感謝しなさいよね!いつでもそばにこんな人がいてくれると思ったら大間違いだからな」という気持ち。もちろんV先生から見てもルビーの才能が見過ごすには惜しいものだったのだろうけれども。それでも、突き放してよかったし、突き放されても文句言えなかったと思う……。
というわけで終盤めっちゃ泣いたけど、これがアカデミー賞の作品賞なんて獲ろうものなら今年は不作だったのだと解釈する。泣けるけれども、泣けるから良作ってわけじゃないと思うので……。
あとマイルズとの恋愛絶対いらなくない? なんか好きになる要素あった?
私はこいつが一家のデリケートな話を(口の軽い)友達にしゃべった時点でこいつは信用ならんと思った。何歳設定でちゅか?
多分これ恋愛なんかほんとは話に要らんのに年頃の男女が登場したらくっつけずにはおれない古い映画人の性かなにかだと思う。
それはそれとしてあの監視員のおばさんは海に突き落とそう。