月と星のエンタメ感想ブログ、

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新宿の天使の話

 

新宿駅で財布を落とした。多分ATMに置き忘れた。

私は給料が入るとほぼ全額をおろして、各クレジットカードの支払いができるATMに行って支払いをし、残りをゆうちょに移す。

この”各クレジットカードの支払い”をおこなった最後の最後のATMで置き忘れた。

この日はお札が何枚も入る長財布と、クレジットカードと小銭用のミニ財布の二刀流。

ミニ財布の方に小銭を入れた後、長財布はその場に置き去りに……(多分)。

 

幸いにしてその後電車に直行し、車内ではリュックを前方に抱きしめて乗っていたのでスリは考えられなかった。忘れたとしたら絶対にATMだ。落としたとしてもその周辺だ。

即交番に半泣きで電話したが届いていないと言われ、JRの忘れ物窓口にかけたら「特徴に合致するものがある」と言われた。

「現金は入っているんでしょうか?」と聞く私。

「それはここではお答えできません」と言われ、しかも時間がギリギリで明日にならないと取りにいけなかった。一晩、財布の中身が無事かどうかわからない状態で過ごすことになった。

最悪、20万弱がなくてもすぐに困るわけじゃない。貯金はあるし、今月のクレジットカードの支払いを全部終わらせてからなくしているから、とりあえず現金が乏しいだけで普通に来月の給料日がくれば、貯金に手をつける必要もないはずだ。うっかり魔が差してミキモトのピアスを買っていたとしたら同じようなキャッシュフローだ。拾った人は明日食べるのにも困っている人かも……。いやでも100円とかじゃないぞ? ン十万はさすがに良心が咎めないか? 色々考えて家族にも慰めてもらい、翌日新宿に出かけた。

 

そうして忘れ物預かり所に行ってみた。事務員が財布を見せる前に淡々と引き取りの書類を書かせようとしてくるので「その前に中を見ても?」と聞いた。

開くと大量に万札が入っている。大量のレシートも数年前から入りっぱなしの10ドル札も、円とセントが混在した小銭も無事だ(これは係の人によって分けられてジップロックに入っていた。恥ずかし)。「金額すべてありますか?」と聞かれた。あります!!ありがとうございます!!「よかったですね〜」と事務員。奥からもう1人出てきて追い「よかったですね」をもらった。大金を落とす間抜けの顔を見にきたのかもしれない。

2人から「気をつけてください〜」と言われて帰った。それにしても世には神様みたいな人がいる。ひょっとしたら中身見てないのかもしれないが、どちらにしてもとにかく届けてくれてありがとう。

新宿駅では他人に優しくしようと思った。もしかしたら私の財布を拾ってくれた人かもしれないので。

 

ところで大学生の時、バイト先で財布の中の3万円を盗まれたことがある。当時「こいつでは?」と思う人はいたが根拠はなかったので言えなかった。防犯カメラも全部客の方を向いている。この容疑者は数年後バイト先の商品を盗んでいてクビになった(この話他のどこかの記事でしたかも。根に持ってるので)。親が弁償することになり警察沙汰にはしなかったという。しろよ。こういうやつは何度でもやるぞ。

こいつは私から3万円奪った後ものうのうと私に接していたわけだ。おそろしい。

顔見知りから3万円盗めるやつもいれば、見ず知らずの他人の20万円弱入り財布をわざわざ届けてくれる人もいる。彼だか彼女だかはわからないが、この人のありとあらゆる幸運を祈るし私に祈られなくても善人だから周囲に恵まれてすでに幸福だろう。これからも良いことばっかりありますように。行く先々全部晴れて道にバラとか咲いてますように。