図書館でなんとなく棚を眺めていたら目に入ったこちら。
へ〜Baby,One More Time? すばらしいタイトルだ。中身がどんなんであろうと読まねばならない。
これあらすじを、、、なんと説明したものか、、、
結論からいうと読後感最悪。
イヤミスともちょっと違うし、社会の底辺で蠢いていて「おいおいそれどころじゃないだろ」って言いたくなる女が主人公だった『推し、燃ゆ』『愛がなんだ』系統でもない。女も男も全員クズだが思考回路と倫理観がほんと謎。
でも嫌いじゃない! この最悪の読後感!!
主人公の温子はコールセンターで責任ある立場であり、同僚からも頼りにされ、買い物にいけば高い服を買い、社内で人気の男(岡村)から好意を寄せられるような存在であるものの、実は自身をアナウンサーと偽ってブログをやっていたり、金を振り込んでくれる謎の男がいたり、付き合い始めた岡村には摂食障害があることが判明したり、不穏な空気がある序盤。
岡村やいとこの一真が素性も性格もよくわからん連中なので目立っていて、少々歪んだ承認欲求があること以外は温子は常識人ぽいと思っていたのだけど、中盤から温子は温子でつまらない嘘をつく悪癖があるということが判明する。それはアナウンサーのフリブログ程度の無害なものだけではなく、借りた金は実際より少なかったって言いはるし、経歴詐称しているし、やってないこともやったと言い、思っていないことを思っていると言う、周囲にとって有害だし読者をも混乱させてくるスタイルの嘘。
岡村にやり直そうって言われた時の
「あたしが貧乏でもやり直してくれる? 貧乏な上に借金があって、凡人で、友達が一人もいなくて、顔も可愛くなくて頭もそんなによくなくて、本当は大学なんて逆立ちしてもいけなくて、意地悪で、他人が大嫌いで、みんながあたしより不幸でいてほしいって心の底から思ってて、嘘つきで、それでもあたしとやり直したいって思う?」
っていう発言、これはよりによって全部本当なんだよね。
岡村は「君がそんな人間なのに理由はない」って言ってて、確かに小さい頃からこうだったみたいだし理由はないのかもしれないけど、大人になるまでに直っていないことに理由があるとしたら、青春時代に裕也とうまくいかなかったこと……なのかな。
うまくいかなかったというか、中絶したこと、中絶の理由にしたはずのアナウンサーにもなれなかったこと、アナウンサーじゃなくても自分が注目される人間になれていないこと、裕也にはもはや嫌われていること全部が、歪んだ承認欲求をそのままに育ってきてしまっていることの理由なのかな。で、アナウンサーになりたいといいながら別に努力もしていないんだよね……。
最後は一真にも見放されて終わるんだけど、お腹の子供は結局誰の子なんだろう。
岡村が好きだとかライブに呼ばれたとか言っているうちはなんか甘酸っぱい小説を手に取ってしまったのかと思ったけど、全然そんなことなかったしむしろ胸糞系だった。
私が何も調べず手に取った小説がほっこり系だったことが一度もない。なぜ。