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【映画感想】わたしたち - 女子小学生の社会の解像度が高すぎる

これ、昔テレビで紹介されていて、「へ〜DVDになったら借りようかなあ」と思っていたら日本ではなかなかソフト化されなかった本作。ソフトになったらなったで近所にTSUTAYAとかないので借りられていなかったのだけど、アマプラにきていたのでありがたく鑑賞。

 

勝手に男性監督だと思っていたので「小学生女子の社会を理解していすぎでしょ……」と驚いたのだが調べてみたら女性だった。なあんだ。そりゃそうだわ。女性は全員この社会をかつて通ってきてるわ。身に覚えがありすぎる。

でもこれを大人になってから描くのは難しいと思う。

大人の持つ合理性ではこの社会を、かつて通った身であってもうまく説明できない。

夏休み明け、ジアがなぜソンに突然冷たくなったのか。

ボラに、ソンがいじめられっ子であることを聞いたのだろう。ソンと仲良くするとジアの評価が下がる。それだけでなく、ソンがスマホを買ってもらえない、塾に通えない環境であることで分断されてしまう。でもそれをジアは頭で考えてそうしたわけではない。

これはいじめともけんかともまたちょっと話が異なるのだが、大人はいじめとして描いてしまいそうな気がする。

家族の恥ずかしいところをクラスメートに見られて、それが翌日には全員の耳に入っている。

あるある。「〇〇のお母さんは▲▲らしい」っていうの小学生の頃何度も聞いたわ。で、他人の〜らしいはすぐ忘れるのに、自分の家族がターゲットになると些細なひと言でもずっと覚えている。私もまだ覚えている。

 

彼女たちは小4だが、まさに小3〜小5くらいはこの映画にあるようなことが頻発する。

しかも当事者たち、なんで今自分がその立ち位置にいるのか理解していないと思う。喧嘩しているわけではないから仲直りというものもない。

 

ソンの弟であるユンは友達のヨノにしょっちゅう叩かれているが遊ぶのをやめない。

ソンがなぜ叩かれているのにやり返さないのか尋ねると「叩かれて叩き返していたらいつ遊ぶの? 僕は遊びたい」と答える。ソンはクラスで遊んでいる時、犯してもいないルール違反を咎められるジアを庇う。

ジアとソンの関係はすぐには友達には戻らないだろう。でももしかしたら来年には親友かもしれないし、再来年には他人かもしれない。どれだけその時ドロドロしていようときっかけがあればがらっと関係が変わり去年のことなどなかったかのよう、ということも小学生の頃はしょっちゅうだ。

 

99%、この特性は小学生の時だけなのだが稀に治らず「陰険な女」として生きていくタイプの哀れな人もいる。ソンもジアもそうはなりそうもないので希望のあるラストだ。

 

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